
受けたダメージはどこへ行くのか。負傷兵はいつ戦死に変わるのか。回復戦法は何をどれだけ戻すのか。実測(回復上限の実測点約50・戦闘帳簿の完全一致10戦超)に基づいて、回復と負傷兵の仕組みを整理します。ダメージ計算そのものの基礎は前回の記事を参照してください。

まず、検証中に出た一番衝撃的な数字から。
ほぼ同じ約1700ダメージを受けた2つの部隊。
片方の戦死は 364人、もう片方は 1179人。
装備も兵種も条件は同じ。違いはたった1つ、毎ターン回復していたかどうかです。3倍以上の差。この記事を読み終わる頃には、この差がどこから生まれるのか、数字で説明できるようになります。
被ダメージの行き先——即死10.4%・負傷89.6%
戦闘中に受けたダメージは、その場で約10.4%が戦死し、残り約89.6%が負傷兵になります。
- 例:1000ダメージを受けると、戦死104・負傷896
- この比率は兵種・武将・相手に関係なく一定です(対人・NPC問わず、戦闘帳簿の検算で毎回一致)

「ダメージを受けなかった」と「受けたダメージを回復した」は同じではありません。回復しても即死分の約10%は必ず失われます。だからスタートダッシュ中の編成で考えるべきは回復ではなく、
①いかに被ダメージ自体を受けずに戦うか
②負傷兵は放置すると戦死に変わるため、いかに早いターンで敵NPCを倒し切るか(下記画像も参照)
の2点。速攻・短期決戦が徴兵コストを最小にします(例:気炎万丈+千軍辟易を使用したスタダ編成)

負傷兵は放置すると戦死に変わる(戦死化)
負傷兵はそのまま残り続けるわけではなく、ターンをまたぐごとに一部が戦死に変わります。
- 発生した次のターン境界で約10%が戦死化(実測10.36%)
- その後はターン境界を越えるたびに戦死化の割合が漸増していきます(〜約15%)
- そして戦闘が終わる瞬間にも「終戦精算」があり、残った負傷兵のうち敗北なら約29%、引き分けなら約42%がまとめて戦死になります

このグラフは「回復なしで戦い続けた部隊」の実測7戦です。戦闘が長引くほど戦死率が上がっていき(約+2%/ターン)、8ターン引き分けまで戦い切ると、受けたダメージの約67%が戦死になります。
面白いのは右端のジャンプ。途中で負けた戦闘より、引き分けまで完走した戦闘のほうが戦死率が高いんです。「最後まで戦ったほうが兵が死ぬ」——直感に反しますが、終戦精算が引き分けのほうが重いため、実測でははっきりこうなりました。
終戦精算が掛かるのは「終了時に残っている負傷兵」だけです。ここで効くのが回復上限の余裕。平均被ダメに合わせた回復だと、敵の能動戦法が重なって被ダメが跳ねたターンの負傷兵を取りこぼし、戦死化・精算で失います。上限にやや余裕があれば跳ねた分まで回収しきれる。期待値だけ見れば上限まで使い切れない発動が増えて回復効率は落ちますが、上振れへの保険として「やや過剰」は機能し、負傷兵の回収=継戦力や徴兵コストの節約に直結します。積みすぎ(総回復が被ダメ×0.9を大きく超える構成)が空撃ちで無駄になる話とは区別してください——「やや過剰」と「過剰積み」の間に最適域があります。
戦闘終了時に残っていた負傷兵が、戦報に「負傷兵」として表示され、城に戻ると回復します。戦死分は徴兵(資源消費)が必要です。
「早い負傷ほど死ぬ」——回復のタイミングの価値
戦死化が毎ターン起きるということは、こういうことです。

- ターン1で負傷した100人……8ターン引き分けの終了時、生き残りは約20人(8割戦死)
- ターン4で負傷した100人……生き残り約32人
- ターン8(最終ターン)で負傷した100人……生き残り約58人
同じ負傷100人でも、いつ負傷したかで運命がまるで違います。序盤の負傷兵ほど戦死化のターンを多く経験するからです。
これが「回復は量よりタイミング」の正体です。序盤に受けたダメージを序盤のうちに回復すれば、戦死化が始まる前に負傷兵を救出できる。終盤にまとめてドカンと回復しても、その頃には序盤の負傷兵の多くがもう戦死に変わっています。
回復できるのは負傷兵だけ——回復量=min(回復上限, 負傷兵)

回復戦法の正体は「負傷兵を兵力に戻す」仕組みです。したがって回復量は次の1本で決まります。
回復戦法には1回ごとの回復上限があり、実際に回復できるのは負傷兵の範囲まで。どちらか小さい方で頭打ちになります。
- 被弾する前(先手のターン1など)に回復が発動すると回復0になります(負傷兵がゼロのため)
- 同一ターン内に複数の回復が発動すると、先に発動した戦法から負傷兵を消費します。先発が使い切ると後発は回復0
- 負傷兵側で頭打ちしている間の回復量は「前ターンの被ダメ×0.896×0.9」が目安です(負傷率89.6%と戦死化1回分の帰結)
- 回復量に乱数は乗りません。同条件なら完全に同じ値が出ます
この構造から、実戦での大原則が出ます:回復は被ダメがないと働かない。回復上限をどれだけ盛っても、負傷兵の供給(=被ダメ×0.9)を超える分は空回りします。回復役の積みすぎが非効率なのはこのためです。
回復の重ね積みは「空撃ち」する
もう1つ重要な実測結果。同じターンに複数の回復が発動すると、負傷兵は早い者勝ちで消費されます。

このレポートでは、本多正信固有の「非常の器」が先に負傷兵全量(24)を回復した直後、同ターンの「守禦」と「大器の萌芽」の回復量が0になっています。負傷兵が空になれば、後から発動した回復は何もすることがない。回復戦法を何個積んでも、回復できる総量は「被ダメージ×約0.9」を超えられないわけです。
回復上限の式——戦法ごとに違うのは「回復率」だけ

回復上限側で頭打ちになった実測点を約50点集めた結果、回復戦法はすべて同じ構造式に乗りました。
- 回復率:スキルテキストに書いてある値そのもの(有備無患54%、非常の器66%、懐柔44%など)。戦法レベルで上がる(有備無患は54%→60%)ため、回復戦法のLv上げはそのまま回復上限の倍率アップになります
- 知略係数1.02はゲーム共通:戦法ごとに知略の効き方が変わることはありません
- H(兵力)=共通の兵力カーブ:低兵力域では兵力のちょうど10%。約1800〜2000を境に伸びが鈍ります(上に凸)
- 知略非依存の戦法(テキストに「知略依存」の記載がないもの。休養・按甲休兵・守禦など)は知略項が丸ごと無く、回復上限=回復率×H(兵力)のみ
検証例(非常の器・知略229):兵力261で173、1000で222、2000で289、3500で342、5000で376——式との誤差は全点±1.5以内。
テキストと実測の一致も確認できています。非常の器66%÷有備無患54%=1.222に対し、実測した兵力カーブの倍率比も1.222——テキストの回復率と実測が小数3桁で一致しました。
知略非依存型の例:按甲休兵(回復率140%)を兵1000で使うと、H(1000)=100×140%=回復上限140。
回復量がいつの値で決まるか——「休養」を介するかどうか
回復戦法には2つの作動方式があります。
①休養(継続効果)を付与するタイプ……非常の器・懐柔など、ログに「休養」効果を発動と出るもの。毎ターンの回復量は休養が付与された時点(多くは合戦開始前)の兵力・知略で確定し、戦闘中の知略デバフや兵力減では変わりません。火傷などの継続ダメージが付与時の属性で固定されるのと同じ法則です。同じく休養を付与する按甲休兵・汎用戦法の休養も同型と見られます(検証中)。
②直接回復するタイプ……有備無患(能動)や守禦など、休養を介さずその場で回復するもの。発動した時点の兵力・知略を参照するため、兵が減るほど回復も細り、知略デバフも効きます。
紛らわしい点:守禦も「予備」自体は開戦前に付与されますが、回復は休養を介さない単発型のため発動時参照です。見分けるのは「予備」ではなく「休養」の有無。
実測では、休養型の非常の器は戦闘中に知略デバフ(−61.1)を受けても回復量が1も変わりませんでした。休養型は知略デバフで対策できない——回復対策は回復不可(制御)で行うのが正解です。
検証済み戦法一覧
| 戦法 | 回復率 | 知略 | 参照時点 | 発動 |
|---|---|---|---|---|
| 有備無患 | 54%(Lv1)→60%(最大) | 依存 | 発動時 | 能動(確率) |
| 非常の器(本多正信固有) | 66% | 依存 | 休養付与時(開戦前)で固定 | 3〜5ターン目 |
| 懐柔 | 44%(Lv1)→48.9%(最大) | 依存 | 休養付与時(開戦前)で固定 | 2〜4ターン目 |
| 守禦 | 100% | 非依存 | 発動時 | 5ターン目 |
上記以外の回復戦法もテキストの回復率が分かれば概算できます。Wikiの計算ツールを公開しました。
回復不可の仕様——発動は止めず、算出後にカット
回復不可(水攻干計など)は回復の発動自体を止めるのではなく、算出が終わった回復量をカットします。
- ログの「被回復量N減少」のNは、負傷兵と突き合わせる前の素の回復上限です
- カットされた回復は負傷兵を消費しません(負傷兵は残る)
実測比較:回復するほど、死なない
最後に、冒頭の「364人 vs 1179人」を含む4条件の比較です。

| 戦闘中の回復量(÷総被ダメ) | 最終戦死率 |
|---|---|
| 約85% | 13.7% |
| 約41% | 37.5% |
| 約34% | 45.4% |
| 0%(回復なし) | 66.5〜67.6% |
きれいな右肩下がり。しっかり回復が回っている部隊は、回復なしの部隊に比べて戦死が約5分の1まで圧縮されています。
回復の価値は「兵力バーを戻す」ことだけではありません。負傷兵が戦死に変わる前に救出する——見えないこちらの働きのほうが、徴兵コストに直結します。また、火力は兵力に大きく依存するため、戦闘中の回復は戦死削減だけでなく与ダメージの維持にも直結します。
実戦への示唆まとめ
- 回復は総量よりタイミング:序盤の負傷ほど戦死化のターンを多く経験する。序盤から途切れず回すのが最効率(実測では戦死を約1/5まで圧縮)
- 回復の積みすぎは非効率:回復できる総量は被ダメ×約0.9を超えられない。回復上限×想定発動回数が想定被ダメの9割を超える構成は過剰
- 知略デバフが効くのは直接回復型だけ:有備無患・守禦には効く。非常の器・懐柔(休養型)には効かない。休養型への対策は回復不可
- 回復戦法のLv上げ=回復率=回復上限の倍率:育成の優先度判断に直結
- 知略非依存型は誰が持っても同じ:守禦・按甲休兵は知略の低い武将に持たせても損しない
検証について
本記事の数値はすべて実測に基づく推定値です。
- 回復上限側の実測点:約50点(対人戦+NPC戦。回復不可のカット表示読みと、高火力相手での負傷兵飽和の2方式で測定)
- 戦闘帳簿(被ダメ・回復・戦死・負傷の収支)の完全一致:10戦超
- 回復量は決定論(乱数なし)のため、同条件の再現で検証しています
対人戦データの収集にはmiyaさんにご協力いただきました。この場を借りて感謝します。



コメント